人選ミス

三軒茶屋の駅に向って歩いてたら刻のこと



『…ません…すいません！！』



目の前に
止まっていた車の中から声が聞こえる



周囲には人影無し


どうやら自分の事を呼んでいるらしい


車内にはスーツを着た野郎が三人

20代後半～30前半だろうか

中途半端にブランド物の仕立て
モテル為だけの一つ覚えの外車（牛）

六本木のクラブで見そうなやんキーである

 

『…なにか?』



応えてしまった

明らかに嫌な予感がする
こういうのは無視と相場が決まってるのだ

キャッチならいつもどおりのスルーなのだが
そうでないものは断りづらい

己のお人好しさを攻めるのを余所に
野郎は話を始めた



『この時計知ってる?』



そういっておもむろに取り出したのは
銀の腕時計



『知っていると想うけど、あのリーガルの腕時計
定価で60～万の代物』



ブランドなんてしるか
あれだろグラスメーカーだろ?（違

…で、それがどうしたって



『いやぁ
営業の在庫の関係上で余っちゃってね

このまま会社に戻すわけにもいかないし

俺達としても悔しいんだけど
貰ってくれ人を探してたんだ

ちなみに、使わない場合は質屋に持っていってもらえば
50万の値は付くョ』


ドンだけいい加減な会社だよ！！
なら、手前でモチコメやいいだけの話だろうに



『ほんとは、俺達がいきたいんだけど…
ライセンスの関係上
直接転売できないんだ』



姉さん、どうやらこいつらは（自称）古美術商らしいです
…きっとデート商法とかろくでもない売り方が十八番なんでしょう（偏見
 

『まぁ、そう言う事で誰でもいいからわたしたかったんだ

発売の関係上
質屋に持っていくのは明後日まで待ってくれレばイイからさ

まぁ、、ラッキーだと想ってくれていいよ

…只、俺らとしても見知らぬ君にタダで50万あげるのも癪なわけ』



『連絡先聞いて
質での利益を割るなんてそっちもやでしょう

勿論、俺達としても急に越えかけたし
初対面でどういう人間か分からないのに
この後接点を持ちたくない


それでなんだけど
俺ら、この後4人で飲みに行くんだけどさ
悔しいから少しくらい金の足しにしたいんだ

…今、幾ら持ってる』

ケッキョク、そゆことね

聞くのはいいけどさ

ぶっちゃけ現所持金は2000

預金残も2000


…そんなんで良いならお支払い致しますが?（ニヤ


『いや、駄目じゃないけど…（困惑）』



場所だけにお洒落に直ぐ飛びつくボンボンが多いと踏んだのかどうかシらネエが
こちとら元ホームレスけど何か?




結局
騙そうとしていたのかどうかは闇の中

…何ゆえ自分に声をかけた（服装：Tシャツ、チノパン、革靴